馬術コラム

Part9 柔軟運動課目と収縮運動課目

柔軟運動課目

1.レッグイールディング(頭を外へ、頭を内へ)
2.レッグイールディング(輪線上または斜線上)
3.レッグイールディング(往復手前変換斜線上)
4.前肢旋回
5.後退(1馬身(3歩半)その後停止)

注.3歩後退した後、半歩で4肢を揃えて停止する。

収縮運動課目

1.後退(規定数)
2.後肢旋回(常歩)
3.輪乗りの開閉
4.反対駈歩
5.シンプルチェンジ(中間に3歩~5歩常歩)
6.側方運動(肩を内へ、腰を内へ、腰を外へ、ハーフパス)
7.フライングチェンジ
8.ハーフパス(駈歩)
9.半ピルーエット・全ピルーエット(駈歩)
10.ピアッフェ・パッサージュとその移行

柔軟運動課目とは、馬体の柔軟性を図るために用いられる運動課目をいいます。我々はこれらの柔軟運動課目を用いて、若馬の初期調教や初心者の教育を図り一般的に準備運動に用います。それによって馬は騎手の扶助をだんだん理解し、乗馬としての基礎運動を理解することができます。また準備運動時においては、次の段階のための柔軟運動作業となります。

一方騎手教育においては、基本の騎乗方法を学ぶために必要な運動課目であり、それらを通してより正確な扶助を理解すると同時に、馬の動きを良く感覚することにも役立ちます。そして、それによって次の段階への基礎的技術を体得することができます。


○凝固解消の試金石(頭頸の伸展動作・ストレッチ動作)

馬が精神的にも肉体的にも完全にほぐれているかどうかを確かめるために、手綱を伸ばすやり方があります。この実施方法は、騎手が徐々に手綱を拳から滑らせるようにして伸ばし、最終的には完全に手綱を伸ばします。このとき同時に、継続して馬を推進しておきます。

このように動作をしたとき、馬がほぐれていれば馬はハミをくわえながら頭頸を前下方へ伸ばし、一定の歩調を保ちつつ走行を続けます。

この頭頸の伸展動作は、基本的に馬の口角が馬の肩先ぐらいまでとします。

収縮運動課目とは後躯の負重力の養成のために用いられる運動課目をいいます。すなわち、正しい収縮体勢とは後躯の沈下と後肢の活発な馬体下への踏み込みであり、馬自身の体重と騎手の体重とを後躯に受けながらもその負重力が推進力となりうる状態をいいます。後躯屈撓とは股関節-膝関節-飛節の角度のことです。

収縮運動を行うにあたり大切なことは、収縮を求める時期と収縮運動課目の選択と組み合わせであり、秩序的に実行することです。

すなわち、弾発を伴う推進力と負重の相互の関連性が最大のポイントです。

○収縮の試金石(ユバーシュトライヘン)

馬が正しく騎手の扶助に従い収縮体勢をとっているかどうかを確かめるのに、馬の首の上(頸峰)に添って両拳を前方へ出す騎乗法があります。この際、馬が後躯に負重を受けながらも前進気勢と推進力を保ちつつ、一定のテンポでセルフキャリッジをとって歩いているならば、その馬は正しい収縮体勢をとっているということができます。すなわち、馬は騎手の座りの中にあるということです。また、馬が内方姿勢をとっている時、騎手は内方の手綱を譲って、馬が外方手綱に支点をとっているかどうかを確認することもできます。

柔軟運動課目と収縮運動課目の違い

柔軟運動課目              収縮運動課目

1.頭部の姿勢のみ           1.馬体全体にわたる内方姿勢

2.進行方向に対して反対姿勢      2.進行方向に対して同内方姿勢

3.主扶助は内方脚           3.主扶助は外方脚

4.前進運動              4.側方運動

5.イーブンバランス                        5.コレクションバランス


○馬のバランスの変化

 ナチュラルバランス  (馬自身のみの自然なバランス)

     |

 ワーキングバランス  (Aクラスの運動課目での人馬のバランス)

     |

 イーブンバランス   (A~Lクラスの運動課目での人馬のバランス)

     |

 コレクションバランス (L~M~S~G.Pの運動課目での人馬のバランス)

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